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物流2026年問題、CLO未選任なら100万円罰金—EC事業者への影響とは

2026-02-12

2026年10月31日。この日までに荷主企業が提出すべき「中期計画書」の初回期限まで、残り6ヶ月を切りました。

2026年4月から物流効率化法が改正され、これまで努力義務だった項目が法的義務へと変わります。違反すれば罰金が科される可能性もあります。特にCLO(物流統括管理者)を選任していない企業には、最大100万円の罰金が課されます。

背景には深刻な人手不足があります。2030年には輸送能力が34%不足するという見通しが出ています。この問題は大手物流会社だけの話ではありません。EC事業者にとっても無関係ではいられない理由がそこにあります。

何が変わるのか — 3つの義務

これまで「努力義務」とされていた項目が、2026年4月から「法的義務」に格上げされます。対象となるのは年間9万トン以上の貨物を扱う約3,200社で、国内貨物量の約50%を占める規模です。

義務化されるのは次の3つです。

第一に、CLO(物流統括管理者)の選任。これは役員級の人材を物流責任者として配置することを意味します。単なる担当者レベルでは認められません。経営層が物流を統括する体制を求められているのです。

第二に、中期効率化計画の提出。初回の提出期限は2026年10月31日。この計画には、今後数年間でどのように物流効率を改善していくかを具体的に示す必要があります。

第三に、定期報告の義務。計画を提出して終わりではなく、進捗を定期的に報告しなければなりません。

ここで重要なのは、直接対象にならないEC事業者でも影響を受けるという点です。取引先の3PLや物流センターが対象企業であれば、物流コストの上昇は避けられません。CLO選任や中期計画の策定にかかるコストは、最終的に委託料金に反映されます。

さらに、効率化計画の一環として3PLが荷役条件の見直しを求めてくる可能性もあります。たとえば、入庫時の荷姿統一や出荷時間帯の集約といった要請が、EC事業者の日常業務に影響を及ぼすことも考えられます。義務化の対象でなくとも、サプライチェーンの中にいる以上、無関係ではいられないのです。

見落とされている「隠れた非効率」

物流効率化というと、大規模なシステム導入や配送ルートの最適化を思い浮かべるかもしれません。しかし、現場で見落とされている「隠れた非効率」があります。

トラックの積載率を見てみましょう。2005年には50.3%でしたが、2022年には39.7%まで低下しています。荷物が減ったのではなく、小口配送の増加で効率が落ちているのです。

ドライバー不足も深刻です。2000年には約100万人いたドライバーは、2030年には50万人まで減少すると予測されています。平均年齢は54歳に達し、高齢化も進んでいます。

人手不足による倒産も増えています。2025年には過去最多の427件が記録され、そのうち物流業は52件を占めました。

では、こうした効率化の圧力はEC事業者の現場にどう影響するのでしょうか。考えるべきは、2026年の規制強化によって何が起きるかです。荷役時間や待機時間が短縮されると、現場はより忙しくなります。その中でクレーム対応に時間を取られるのは大きなロスです。

ある物流現場では、「入ってなかった」というクレームに証拠がなく、無条件で再送を繰り返していました。証拠がなければ「とりあえず再送」という慣行が続いています。これも立派な「物流効率化」の対象です。

規制が厳しくなるほど、こうした無駄を削る必要性は高まります。

今からできる3つの準備

大規模なシステム導入だけが効率化ではありません。EC事業者が今からできる準備は、もっと現実的なところにあります。

まず、現状把握から始めます。自社の物流プロセスのどこにボトルネックがあるのかを確認します。出荷件数に対してクレーム件数が多い商品はないか。再送が頻発している理由は何か。こうした基本的なデータを整理するだけでも、見えてくるものがあります。

次に、記録の習慣化です。梱包や出荷のプロセスを可視化することで、問題の原因を特定しやすくなります。記録方法は写真、チェックリスト、映像など様々ですが、最近では物流映像を記録するソリューションを導入する現場も増えています。「入っていた」「入っていなかった」という水掛け論を避けるためには、客観的な記録が最も有効です。

そして、物流パートナーとの対話を深めます。取引先の3PLが2026年の義務化にどう対応しようとしているのかを確認しておくことは重要です。コスト上昇の可能性や、求められる協力内容を事前に把握しておけば、急な変更にも対応しやすくなります。

義務化を待つのではなく、今から小さく始めます。それが結果的に、2026年問題を乗り越える準備になります。

物流を見直す契機として

2026年問題は、確かに規制強化の側面があります。しかし、同時に物流を見直す契機でもあります。

効率化は負担ではなく、競争力になります。物流プロセスを一つずつ改善し、記録と可視化を積み重ねた企業は、コスト面でも顧客満足度でも優位に立てます。規制に追われるのではなく、先回りして備える姿勢が、長期的な事業成長の基盤となります。

今から準備を始めれば、2026年問題はリスクではなく、自社の物流を強くする機会になります。義務化まで残り数ヶ月。まずは、自社の現状を見直すところから始めてみてはいかがでしょうか。

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