現場の声をお届けするリアルログです。今回は、約200万円〜960万円クラスのダイヤモンドや高級時計を扱う高額商品流通現場で起こる実際の課題と解決策をご紹介します。
「この時計はほぼ中古外車一台分の価格です。傷一つでも記録が必要ですね」
中古高級時計を流通させるブランド担当者様がRolexの時計を指しながらおっしゃった言葉です。ほぼ新品同様の200万円を超える商品でした。
最近、ダイヤモンド、貴金属、高級時計を扱う企業様との打ち合わせが続いております。Rolex、Omega、Cartier製品を取り扱う業者様からダイヤモンド原石流通業者まで。これらの企業様が共通して抱えている課題をお聞きしていると、超高額商品業界ならではの独特な現実が見えてきます。
ダイヤモンドや宝石流通業者の担当者様から、このようなお話をお聞きしました。
「お客様がご購入される際は、ダイヤモンドリングのデザインからガードルの形状まで、すべて拡大してご確認いただいています」
実際にダイヤモンドリングを販売する際は、拡大鏡で細部まで確認していただき、説明も十分に行っているものの、時間が経過してからクレームが入ると証明する手段が限られており、非常に困難な状況が発生するとのことです。
中古高級時計プラットフォームでも同様です。時計一本が100万円〜200万円という価格帯で、お客様から「見た時の文字盤と違う」「ケース裏面の傷がより深く見える」といったご指摘をいただいた場合、言葉だけでの説明には限界があります。
高額商品の特性上、購入直後よりも時間が経過してから問題が発生する可能性が高く、いつお問い合わせをいただいても対応しなければならないというのが、これらの企業様の共通した経験です。
高級時計店舗で実際に検査する様子を見学する機会がありました。DSLRカメラで時計のすべての面をクローズアップ撮影し、ベゼルの微細な傷からブレスレット接続部の遊びまで、本当に「顕微鏡レベル」で確認されていました。電子顕微鏡まで導入しているダイヤモンド業者様もいらっしゃいました。
しかし、このような精密撮影にも現実的な課題があります。DSLRで撮影すると容量が膨大になり、一つずつPCに保存し、後でお客様やパートナー企業様にお送りする際は、再度ファイルを探して共有する必要があります。煩雑なだけでなく、うっかり漏れてしまうケースもあるとのことです。
特に印象的だったのは、流通パートナー企業様が商品状態を直接確認したがっているという点です。その都度資料を別途お送りするよりも、システム上で権限を付与し、いつでも確認できるようにした方がお互いに便利だとのことです。
実際に、あるダイヤモンド卸売業者様は、小売店様との取引でこのような方式を望んでいるとおっしゃっていました。お客様から商品状態についてお問い合わせを受けた小売店様が、再度卸売業者様にお尋ねすることなく、リアルタイムで必要な時に直接確認できれば、業務効率が大幅に向上するということです。
複数の企業様とお会いして感じたのは、それぞれが既に使用している設備が異なるという点です。ある企業様はDSLR、また別の企業様は電子顕微鏡を使用されていました。新しい環境を構築するよりも、現在使用している設備をそのまま活用しながら、管理のみを便利にできればよいというニーズが強くありました。スタッフの皆様が既に慣れ親しんだ設備があるのに、また新しく覚えることは負担になるためです。
現場で求められているのは複雑なシステムではなく、現在行っている業務をより効率的で透明性のあるものにできるツールです。撮影だけがうまくいくのではなく、高画質映像を長期間安全に保管し、必要な時にパートナー様やお客様とすぐに共有できる全体的なワークフローが重要です。
クラウドでもローカルでも、一定時間が経過した後でも安全に取り出せる必要があり、高画質映像のため容量も大きいのですが、これを効率的に管理できるシステムが必要なのです。
ある超高額流通業者の社長様は、映像記録の意味をこのように説明されました。
「映像記録があるかないかの違いは、単純な紛争解決の次元ではありません。私たちがどれほど細かく管理しているか、どれほど透明に取引しているかを示す指標です」
高額商品を扱うブランドほど、販売時点で業務が終わらないということを、現場では既によく理解されています。そのため、多くのブランド様が現在、映像記録を通じて品質について最後まで責任を持ち、お客様との信頼を継続していく手段として活用されています。
複数の企業様とお会いして確実に感じたのは、高額商品業界では「検査」を超えて「状態証明」が新しい基準になっているという点です。
「きちんと梱包してお送りすればよいのではないでしょうか?」という質問に対して、現場経験を積まれた方々は首を振られます。何度か経験すると、高額商品は単純なテキストや口頭説明だけでは限界があることがわかるとのことです。
既存設備との自然な連携撮影、パートナー様やお客様との映像記録即座共有、長期間安定的な保管まで。これらすべての要素が有機的に連結されてこそ、本当に「現場で使える実用的なソリューション」となります。
高額商品は流通業界では販売時点ではなく、その後が本当の勝負どころです。数百万円商品の特性上、時間が経ってから現れるトラブルがブランドの信頼度を左右するためです。
現場でお会いした企業様の共通点は、既に精密な検査設備を保有されているということでした。問題は、その記録を体系的に管理し、透明性をもって共有できるシステムの不在でした。
新しい設備を導入するよりも、既存で使用しているDSLRや電子顕微鏡と自然に連携しながら、長期間安定的に映像を保管し、必要時に即座に共有できる統合システムが核心です。
結局、高額商品業界の競争力は「商品の品質」から「状態証明能力」へと移行しています。お客様とパートナー様の双方が信頼できる透明な記録体系を備えた企業様のみが、持続的な成長を遂げることができるでしょう。